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枇杷や書館
福利厚生のすすめ 2
「今まで無条件にお見合いしてきたんだけど、やっぱり方針は立てた方が良いのかなぁ」
「それはもう。自分からハンデを背負いたいとはお思いにならないでしょう?」
答えを促すように五月女さんを見ながら、上妻さんはホワイトボードをこつこつ叩いた。
「そうだなぁ、やっぱり子供が欲しいから、僕より若い女の子が良いよね、三十路前位の子がいいかなぁ。働いてても問題はないけど、僕の年収とか気にしない女の子がいい」
「二十代、学歴、年収不問。子供とか、離婚歴のある方は?」
「あー……ちょっと遠慮したいかな」
「なるほど、あなたの希望を聞こうと思った私が馬鹿に見えるくらい下らない返答ありがとうございました」
「素直に答えたのに酷いよ」
「あははは! たいちょー、若ければなんでもいいんだね。そんな人ごまんといるに決まってんじゃん」
伊織さんが二十代の文字を指さしながら言った。
「そういうわけでもないけどね……伊織ちゃん、知り合いに誰かいないかな?」
「いっぱいいるってばー。わかった、合コン設置してあげるね」
「おお! ありがとう」
「任せてよ」こうして早々に第一回目のチャンスを使うことになった。変な人ばかりの職場だけど、メンバーの危機には優しい皆に感心しつつも、僕はどうしても不安がぬぐえないのだった。
続く
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